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zoom RSS ブラジルのジャズ (4) Moacir Santos

<<   作成日時 : 2011/08/21 23:16   >>

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ブラジルのジャズ、自分でも、ふと思い出して 「あ、この人もいたよな」 みたいに思い出しては調べたりしてます。

今日は一般的にはジャズの分類で紹介されることは少ない人です。
でもある意味、ブラジルでは最もハイソなジャズをやったのはこの人かな、とオレは思ってます。

モアシール・サントス (1924 〜 2006)

え〜っと、ブラジル音楽に深くはまってみたい、という人は彼の生年がジョビンより3年早いことに注目。

北東部ペルナンブコ州の田舎町の貧困家庭に生まれる。
2歳で母親と死別、父親はすでに家出済み・・・・・・ モアシールは親戚に預けられ音楽教室に通う。
14歳までにギター、サックス、マンドリンなどをマスター、地元のラジオ局の仕事などを重ね、48年リオに出てくる。

リオにおいて、モアシールは、30年代にドイツからナチを逃れて亡命してきた、ハンス・ヨアヒム・ケールロイターに楽理を学んでいる。

ケールロイターはベルリン国立音楽アカデミーに居た人で、シェーンベルクの12音階作曲法をブラジルに持ち込んだ。
ケールロイターはまた、ジョビンの音楽の先生でもあり、60年代、バイーア州立大学で教鞭をとり、カエターノ一派にも影響を与えている。

以上ブラジルにはヨーロッパ文化の最上のエッセンスが流れ込んでいる、とオレが思う理由のひとつ。

64年と65年にブラジルで二枚のアルバムを録音。

モアシールは バーデン・パウエル や ナラ・レオン、ホベルト・メネスカル等の音楽の先生でもあり、MPBに奥行きを与えた功労者の一人でもある。

映画音楽などを手がけるうちに、その優れた才能がアメリカにも聞こえ、渡米する。
ブルー・ノートと契約して、72,74,75年、と三枚のアルバムを発表。
そのままアメリカに移住してしまうのは、のちのセルジオ・メンデスなどと同じで、ちょっと残念なところです。

で、今日最初に聴いてもらうのは、そのブルー・ノート時代の最後、75年のアルバムから。
中盤からの前衛感がタマらんです。 モアシール以外は全員アメリカ人の演奏。
3:00過ぎからのアルト・サックスがモアシール。 これ、ウエイン・ショーターも真っ青でねぇか・・・・




ハーヴィー・メイソンのドラムがいいです。 オレがスティーヴ・ガッドより好きなのわかってもらえますかね?

で、これ、フュージョンじゃないよね。 大勢のアメリカ人がブラジルの天才の手の上で踊らされてる稀有な音楽です。

70年代初頭、フュージョン以前、こういうのがクロスオーバーと言われた時期の最上の音楽のひとつでしょうか・・・・
(女性ボーカルが、ちょっと残念なのが玉にキズですが・・・)



次は74年。  モアシールのサックス・ソロは1:35あたりから。 全編6拍子・・・・これもドラムはハーヴィー・メイソン。




え〜っと・・・・・ 言いたくないけど、同時期のアメリカのクロスオーバー・バンド、例えばリターン・トゥー・フォーエヴァーなんかより全然イイよな。

RTFは初期の頃、アイルト・モレイラとフローラ・プリンのブラジル人夫婦が参加してた頃までは、その二人のおかげで前衛的なとこがあったけど、
その二名が脱走後はどんどん音楽が劣化していくんだよな、前衛的という意味においては・・・・・

(とにかくオレ、ザビヌルとチック・コリアは無理なの)

結局フュージョン音楽が駄目なのって、前衛的な部分が皆無なうえに、運動会みたいなインタープレイ、あるいは反対に全く緊張感の無い
俗っぽい楽器の歌わせかたをしてたからだと思う。


モアシールは作曲やアレンジ、ビッグバンドの指揮などが本業のようである。
そういう人の大部分はピアニストであるのに、モアシールはそうではない。

鍵盤楽器が前面に出ないクロスオーバー音楽としても、この人は稀有なのだ。

主にサックスを吹くインストゥルメンタリスト(器楽奏者)としてのレベルも相当高いが、モアシールの音楽はシェーンベルクの流れを汲んだものなのか、
前衛度が高いアレンジに真骨頂があるように思う。

と、思えば72年にはこんな曲も・・・・
この曲ではモアシールはボーカルのみです。 ジョニー・アルフみたいだよな。




前衛的ではないけど、ブラジル音楽特有のエスプリがあるよね。 こういう曲もサラリとやってのけるところにシヴィれてもうた。


******

モアシールについてはWeb上に日本語で詳しく解説したものが見当たらないので、英語やポル語のページなどを参照してまとめてみました。
で、思うのは同じサックス奏者として、1897年生まれの先輩、ピシンギーニャの影響ってあったんだろうな、ということ。

いやぁ、ブラジル音楽は奥が深いよな・・・・・・


参照 → ピシンギーニャ関連の過去記事








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Harvey Mason
ドラマーというとこの人にも触れておかないとマズいよな。 フュージョン全盛期にスティーヴ・ガッドと人気を二分した人・・・・ ...続きを見る
トリニティースクール音楽部 部室
2012/02/11 00:40
ポーランド音楽(2) Tomasz Stanko
どうもポーランド音楽で気になるのはジャズ系、もしくはジャズの要素がある音楽のようですね、自分は・・・ まぁ、きのう今日聴き始めたばかりなんで明言は避けますが、共産圏の芸術ってのは抽象的になりやすいんではないですかね? ...続きを見る
トリニティースクール音楽部 部室
2012/04/26 13:42
夏はやっぱりブラジル音楽!
暑い日照りの毎日、ブラジル音楽を脈絡なく聴いていくと納涼になりませんかね・・・・? 解説は最小限で曲を多めに用意したんで聴いてください。 ...続きを見る
トリニティースクール音楽部 部室
2017/07/18 00:16

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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
ほんとだ アメリカより ぜんぜんいいよーーーー
変態通行人
2011/09/01 18:37
アメリカに渡ってしまって、ちょっと変わったジャズをやってたという理由か、モアシールはアメリカでもブラジルでもそれほど人気がなかったようで、あまり語られることがないのは残念ですね。 
好調
2011/09/01 20:24
初めまして、日向葵と申します。Moacir Santosで検索して参りました。ブラジルのジャズはとても面白い作品が数多くあるのですが、ECM作品ばかりが取り上げられている印象があり、残念に思っています。

ペルナンブーコはFrevoが有名ですが、アフリカとオランダの文化が混じり、音楽的にも豊かな文化を生んでいる場所です。ブラジル全体が移民の混血文化を築いているので足跡を辿るのは難しいですが、音楽の端々に多様なルーツが垣間見られて面白いです。

貴重な記事を拝読させて頂きありがとうございました。
日向 葵 Aoi Hyuga
2013/07/12 14:18
コメントありがとうございます〜

ECMは精製された上白糖みたいな白々しさがありますね。
本当のブラジル・ジャズは三温糖のような丸み、雑味が残ってるというか・・・
でもエギベルト・ジスモンチはじめブラジル勢がユーロ・ジャズに与えた影響は大きいと思います。

ペルナンブーコにはオランダ人が多いとは知りませんでした。

コメントが少なく淋しいのでまた書きこみお願いします。

モアシールはこちらのエントリーでも紹介してます

http://trinitymusic.at.webry.info/201204/article_4.html


 
好調
2013/07/12 21:54
コメント返信をありがとうございます。

ご紹介先のリンクを先程斜め読みしました。MP3保存していたファイルをFlacで保存しなおそうとしている折で、ブラジルのジャズものをリッピングしなおしているところでした。モアシール・サントスのCDもあり、「Ouro Negra」の情報が少なかったので調べておりました。後で、じっくり再読させて頂きます。

私のサイトはゆるゆると移管作業中で、遅々として進んでいないのですが、良かったらご覧下さい。

楽しい音楽を聴く♪ http://music-review.info/

ブラジルの古い(〜2005)音源のデータベースは、Cliquemusic http://cliquemusic.uol.com.br/ を用いています。レコードの型番なども載っていて参考になりますよ。もし宜しかったら。
日向葵 Aoi Hyuga
2013/07/15 16:21

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