Bill Evans



ちょっと前、学校のほうのブログでエヴァンスのことを書いたら、今日までに意外な人幾人から反響があった。

特に昔バンドを一緒にやってたキーボードの友人からの書き込み。

彼女は大学出てからしばらくして、アメリカのバークレー音楽院に行って勉強した、ピアノのプロです。

実際にバンド時代はローズばっかり弾かされてたことを思い出しました。
非常に貴重な意見ですので米欄も含めて、ここに動画付きで再掲します。

ビル・エヴァンスはトッド面会後の僕の空白に静かに入ってきた人。
だから、これはタイムリーでもあるんです。

(トッド疲れが出たんで手抜きご容赦)
 
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From Left to Right......「左翼から右翼へ」、と昨今の我が国の進むべき道を
指し示すかのタイトルに惚れなかった、と言えば嘘になる。

(注:From Left to Right はこの曲が収録されてるアルバム名)

エヴァンスが電気ピアノを弾いているこのアルバムの存在を知らなかった。
どうもエヴァンス・ファンの間では黙殺され続けてきたようで、それで語られることもなく、CD化も遅れたのだろう。

マンクス・ノートンをいじっているF氏が持ち込んだ音盤を聴くやいなや好きになり、借りっぱなしになっている。 何故これが評価されないのか全く理解できない。名盤だと思う。

もともと僕はフェンダー・ローズという電気(電子ではない)ピアノが好きなのだ。
電気ピアノとしては後発のヤマハCPシリーズがよりアコースティック・ピアノに近い音を出すからローズは不利になった。 ところがそのCPはよりシンセサイザー的方向に進化した同じヤマハのDXシリーズの普及とともに駆逐される。

CPやDXはあくまで生ピアノの代用、つまりカップラーメンのようなものだから、あまり好きにはなれない。
やはり音叉を共振させて増幅させるローズの「玉を転がすような」独特の音にグっとくるのである。

もともとピアノという楽器の名前は「ピアノ・フォルテ」、つまり最弱から最強の音を鍵盤を打つ強度によって自在にコントロールできる、つまりダイナミックレンジがきわめて広いその特性からつけられたのであった。

ところがピアニストによっては、もともとダイナミックレンジの狭いタイプの人がいる。
例えばタッチが強いとは言えないハンコックなどである。
こういうタイプは楽器としてタッチの強弱の差が出にくいローズのほうが向いていると思う。
だからハンコックは生ピよりエレピ、さらに言えばシンセのほうがカッコ良いのではないか?

ビル・エヴンスもどちらかと言えばタッチは弱い。弱いというのが不適切なら「繊細」と言ってよいタイプだろう。
年少の頃からクラシックで鍛えられ、ドビュッシーのような幽玄な世界をも持ち味としているピアニストだ。
だからこの人がエレピを弾いてキマらない訳がない。

このアルバムではスタンウエイのグランドピアノを左手で、ローズを右手で弾く、という大変珍しい構成、だがそれによって彼がローズをどういう音を出す楽器ととらえていたかがよく判るのである。
ローズ生みの親、ハロルド・ローズ氏の寄せた一文がライナーノーツに載っている。
ある日エヴァンスから「次の録音でローズを使ってみたいから協力してくれるか?」という電話があったそうで、それが実現したのがこのアルバムだったのだ。

和音よりも単音・メロディーラインをローズで歌わせている。 エヴァンス特有の慎重で注意深いフレージング、
ヘロイン中毒者がかもし出す、最小の音数で広い世界を表現するミニマリスティックな面がことさら強調されるようだ。
う~ん・・・シヴィれる・・・  ドビュッシーをローズで弾いたらいいかも? なんて思わせる演奏だ。

エヴァンスがローズを自家薬籠中のものとしたのは疑いないが、この後のアルバムでローズを前面に出して使ったことはほとんど無いように思う。 残念なことである。

電子楽器と電気楽器の間には深い溝があると思う。いっぽう生楽器と電気楽器はほとんど同じだと思っている。
いや、エレキベースなどはウッドベースより楽器として優れている、とすら思う。
ローズはピアノの代用ではなく、ひとつのユニークな楽器である。

1970年、フュージョンや16ビートなどでローズが脚光を浴びる前夜の録音。やはり偉大なピアニストであったと思う。
ビル・エヴァンスとフェンダー・ローズの一夜だけの恋に乾杯・・・・

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この記事へのコメント

1. Posted by SD November 12, 2010 02:03
ビル・エバンスは若いころは女々しくて嫌いだったのですが年を取って好きになりました。
エレピを弾いてもやっぱりエバンスな所が凄いですね。

エレピ+ビル・エバンスのアルバムはもう一枚”The Bill Evans Album”が有りますが”From Left to Right”の方が個人的には好きですね。
今度、学校に持ってきます。


2. Posted by cyndi04657 December 12, 2010 16:34
Bill Evans ずいぶん聴き込んだと自負していたのですが
考えてみたらピアノトリオやソロピアノをメインに揃えていて
エレピのアルバムは全く聴いたことがありませんでしたので、ここでひとつお勉強になりました(^^)v

ローズは、touch response (打鍵の強さ)によって顕著に音色の変わる楽器だという事が、青春のある時期ローズと共に過ごした私の見解です。

弱く打鍵すると柔らかで輪郭の丸い感じの音、
普通(mfぐらい)に弾くと玉をころがすような感じ、
強めに打鍵するとパーカッシブな響きや、時にしゃくりあげるような音色も加わると思いました。

またEvansは、繊細とか女性的という言葉で形容されることが多いですが、それだけに留まらず、非常に雄雄しくスケールの大きな奏法も随所に散見される、と私は思うのですが・・・




この記事へのコメント

メルメン
2011年05月01日 21:09
こんにちは。
ローズはタッチが出難いキーボードではないですよ。
様々な色合いが表現できるピアノです。
エバンスはSYMBIOSYSというアルバムでもローズを弾いています。
好調
2011年05月01日 21:45
メルメンさま
コメントありがとうございます。
僕はピアノは弾けないので実のところよくは判りません。
ただローズは一台一台微妙に音が違う、というのはなんとなくわかります。 
Symbiosys 聴いてみます。

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