Shuggie Otis



前回いろんなジャンルがクロスオーバーしてるポップスを紹介しながら思ったことなど。

アメリカ音楽はジャンルがいくつもあって、だけど60年代までは、各ジャンル間をまたいでる人が驚くほど少ないように思う。
それが急速に混合しだすのが70年頃からだろう。

この時代、これらの学際的な動きが広まったのは、単にお互いの音を借りあったのではなく、各ジャンルに固有な精神性のパターンが相互に影響しあった、と見ることが大切である。 

最近のジャンル分け不能なオサレ音楽は、ともするとジャンルのくびきから自由ではあるが、なんだかそこには
別ジャンルどうしの精神のぶつかりあいみたいのは無くて、まぁ予定調和というか、10回聴いたら飽きちゃうのも多いよね。

70年頃に自分のジャンルからの越境を試みるってのはずいぶん大変だったんではないか。
何が大変って前人未踏だから、薄氷を踏むような 「模索」 もあったろうし、なにより評価されないから。 

マイルス・デイヴィスなどは既に超ビッグ・ネームだった訳だけど、彼のエレクトリックへの移行にはずいぶんリスナーからの拒否反応もあったんです。

だからそれほど人気者でもない人が、突然この越境をしちゃうと世間の評価はさんざんなものになり、当人はヤル気をなくしますね。




シュギー・オーティス  53年、LA生まれ

父は斯界では有名なリズム&ブルース奏者、ジョニー・オーティス。
シュギーはブルース・ギタリストとしてデビューしたと言ってよい。



まずは70年、17歳のデビュー盤より






特に斬新な音楽でもないうえ、若さゆえボーカルも上手いとは言えない。

その次のセカンド・アルバム(71年)からだんだんおかしくなる・・・・。

だが問題は製作に三年をかけた74年の三作目 "Information Inspiration" だろう。






ブルージーなとこは無い。多分に瞑想的でそれまでの黒人音楽には見られなかった世界だ。
これほど素晴らしい音楽が売れなかったっていうのは、それだけ斬新だったということです。 

いずれにしても、この3rd アルバムは身を切りながら作った切迫した音になってると思う。

恐らくこの人が突然自分のスタイルを飛び越えられたのは、親父がミュージシャンだったって事が大きいのかもしれない。
親父と同じ音楽はやらねーよ、って事かもな・・・・

次もこのアルバムから







この時代の音の冒険者に共通してる、一種の用心深い気配、つまり斬新であるがゆえに、自らが一歩一歩確かめるように歩を進めてる感じがなんとも刺激的である。

スローな曲調だけど決してリラックスした音楽ではなく、緊張感があるよな。

シュギー・オーティスはローリング・ストーンズへの参加も、クインシー・ジョーンズが持ちかけた次作へのプロデュースも断っている。
よほど確固とした音楽世界を持っていた証拠だろう。

オレがこの人の事を知ったのは77年のブラザース・ジョンソンという、割としょうもないディスコ・バンドがヒットさせたのがこの人の曲のカバーだったとき。
でもそのあと、初期のシュギーしか聞いてみなかったのでそんなに強い印象は無かった。

だけど最近三枚目を聴いてみて、ただものぢゃないな・・ と思った次第。 このアルバムが2001年、デヴィッド・バーン(トーキング・ヘッズ)によってCD化され、再評価の流れが出来たのもシュギーが早すぎたことの証明だろう。

面白いのはこれ以降、彼は全くアルバムを発表することもなく、事実上引退したかのように音楽活動が希薄になっていることと、にもかかわらず驚くべきことに、今年待望の4作目が発表されるだろうという噂・・・・ 出たとすれば37年ぶりの新譜ということになり、ひとつの新記録になるだろう。


最後にもう一曲、3rd アルバムから・・・・・ 天才ってのは居るもんなんですね。
シュギーはマルチ・プレイヤーで、このローズも彼が弾いてるんでしょう。




















この記事へのコメント

変態通行人
2011年04月30日 23:32
sland letter 17歳でこの音ですか。皿ブレットですね。ちょっとベースのうねった感じがスライなんか思い出しました。自分がそのへんしか知らないのもあるんですけど。声にもう少しはりがあとインパクト大ですね。サードアルバムは同じ人ですか??この辺の音90年代初期どっかでそっくりさん聞いたことがあります。時代順で言うとこちらが本家なんでしょうね。似た曲思い出したらまたコメします。オルガンのピコピコ こういう音好きです。あまり音が重なってないのに薄い感じしなくていかしてます。
変態通行人
2011年04月30日 23:40
ええと 3、4ですけど 私イギリスの凄くマイナーなバンドが昔好きで アングラな奴らなんだけど、、、 そこでこんな音のギター聞いたことあります。英国調ってことばでなんだか思い出しました。まっしろい音です。センスのある人がいろんなジャンルまたがると より、高度な音になるんですね。インテリジェンスとはちがうんだけどうまくいえません
しかし。。。瞑想系の音はしらふでやってない???。。。笑
好調
2011年05月01日 07:05
たしかにスライもこの時代に似たようなポジションに居ましたね。音はだいぶ違うけど黒人音楽の領域を拡大しました。
シュギーはもっと内向的で、セカンドアルバムをちゃんと聞きたくて探してるところです。
変態通行人
2011年05月05日 20:28
分かりました。内向的な音ってありますよね。スライなんかとちがうのはナーバス感漂ってる危うさでしょうか。変態の基本であるひとりぼっち個室にジャストマッチな音です。
また 一般的でない内向的音楽紹介してください。
好調
2011年05月05日 22:04
シュギーの音楽をここで紹介したらけっこう評価が高いようです。そう、内向的な音ですよね。また似たようなの紹介するのでお楽しみに・・・

この記事へのトラックバック

  • Excerpt: ここのところ、70年代初頭~中盤に開花した、アメリカのクロスオーバー音楽についての話が多いよな。 Weblog: トリニティースクール音楽部 部室 racked: 2011-08-28 23:39
  • Excerpt: ここのところ、70年代初頭~中盤に開花した、アメリカのクロスオーバー音楽についての話が多いよな。 Weblog: トリニティースクール音楽部 部室 racked: 2011-08-28 23:39
  • アメリカ音楽を考える・・・・

    Excerpt: やっぱりアメリカ音楽の退潮について考えてしまい、いろいろ聴いてました。 なかなか明るくなれる音源に出会わず意気消沈してる中、ちょっと面白い音楽に遭遇。 Weblog: トリニティースクール音楽部 部室 racked: 2014-10-08 23:38