Indigo Girls
カントリー音楽にはアメリカ共和党的な精神が背景にあると思う。
おおざっぱに言って南北戦争の北軍は民主党、南軍は共和党の流れにつながっている。
この戦争は北軍の勝利に終わったが、南部諸州はオールド・アメリカの伝統と保守本流の意識を、あいかわらず持ち続けている。
南部・共和党的な世界観では農業や牧畜という昔ながらの労働が背景にあり、男はオトコらしく、家庭を大切にしなければならない。
中絶やホモ、男の長髪は禁止。 イージーライダーのラストシーンは、南部では今でも実際に起こりうるストーリーなのだ。
今まで紹介してきたカントリー・ミュージシャンの多くが、まず服装の点からして北部や都市部の自由音楽家たちとはずいぶん違うことがわかる。
前回のキャシー・マテアも、湾岸戦争に従軍した兵士をバックアップするキャンペーンに参加している。
今回紹介するインディゴ・ガールズは限りなくカントリーに近い音楽でありながら、民主党的な価値観に拠っている点で、一般的カントリー音楽の世界とは一線を画している。
事実彼女らはカントリー・チャートにおいてではなく、ポップスやロックのチャートでポジションを上げていったのであり、90年のグラミーはフォーク音楽のジャンルで受賞しているのだ。
インディゴ・ガールズを初めてFENで聴いたときは一瞬背筋に走るものがあり、金縛り状態になった。 そういう音楽はFENを聴いていても一年に一曲あるかどうかだ。
カントリーではなく、ポップスをかける番組で人気が出ていて、オレもこの音楽はロックだと思った。
89年、インディゴ・ガールズが世に出たこの曲です。
Hothouse Flowers というアイルランドのグループがバックの演奏、電気楽器がいっさい使われないのにこの迫力・・・・・
彼女らはギターもとびきり上手いが、20世紀後半からのポピュラー・ミュージックにおいて、ギターという楽器が最高の武器になった理由がよくわかる。
二人組の名前はエミリー・サリアースとエイミイ・レイ。 エミリーが金髪で高音のほう、エイミイは黒髪でドスの利いた低音のほうだ。
生年は不詳だが60年代初期の生まれであろう。エミリーのほうがひとつ年上だが、二人はジョージア州の同じ小学校に通っていたのだという。
大学在学中に音楽活動を開始、上の曲が入った三枚目が大ヒットになり、翌90年グラミー受賞へ。
オレ、このアルバムはロック史に残る名盤だと思う。 ただし音造りは限りなくアコースティックてのが異色。
もう一曲このアルバムから・・・・ 不思議なことにこの曲のみ、ベースはユートピアのカシム・サルトン。
エイミイのず太いボーカルが聴きモノ。
翌1990年のアルバムから。 エミリーの歌声が前面に出てる曲は限りなくカントリー。
民主党系の市民運動グループ的な彼女らは、92年のアルバムでは湾岸戦争を批判したり、さらにはカントリー・ミュージックの聖地・ナッシュヴィルの音楽業界に名指しでケンカを売っている。
ジョージアって南軍に加わってた筈だけど、彼女たちの音楽は共和党的ではない。
スネアがカッコ良いドラムは、元オーリアンズのジェリー・マロッタ。
もう一曲、同じアルバムから。
オレがインディゴ・ガールズを聴いてたのはこのアルバムまでで、それ以前のものは全てLPで持っている。
だけどこの次のアルバムからはちょっと理屈っぽくなった気がして、以後遠ざかった。
それで今日、調べてたらこのあとアルバムを9枚も出してるのな・・・・
この人たちレズビアンである、ってこともカミング・アウトしてて、このあたりも民主党系。 共和党だと同性愛はご法度ですから。
ただし二人は愛人関係にはないらしいです。念の為・・・・
2006年、このアルバムは他の曲も良いので今日アマゾンに注文した。
あいかわずアコースティックな音造りだけど、リズムがシャープ。 3曲どーぞ。
なるほど彼女達の音楽は精神はロックであっても、音はフォーク・ミュージックの流れだろう。 それは主にアメリカ北部で発達したものだ。
それとここまで聴いてみて、やっぱりこの人たち芸人音楽ではなく、自由音楽だよな。
普通カントリーは芸人的なんだけど・・・・
民主党系はリベラルなだけに自由音楽のほうが多いとか?
1988年、エピック・レコードは トレイシー・チャップマン や スザンヌ・ヴェガ といった女性モダン・シンガー・ソングライターのヒットを見てインディゴ・ガールズと契約したらしい。
だけど残ったのはこの二人組のほうだったという訳だ。
亜米利加音楽は奥が深いよな。 聴くべきアーティストがヒットチャート以外にたくさん居る。
あなた、それでもまだ シェリル・クロウ を聴きますか?
この記事へのコメント
確かに骨太、、内容からしても腹くくった感じですね。シェリル苦労は媒体露出が多くてルックスで人気?じゃないのかなー。。。クラプトンのなんだかとかいう話もあるし。日本で言うところのあいどる芸能人みたいな存在ナノかな。