Karen Dalton

アメリカのフォークソングってそれほど詳しくはないんですが、60年代にニューヨークのグリニッチ・ヴィレッジがそういう音楽の中心だったようです。
ボブ・ディランなんかもそこから出てきている。 英国のブリジット・セント・ジョンなんかが渡米して、そこに吸い込まれてしまった事はちょっと前に書いたとおり。

アメリカにはフォーク・リヴァイバルという運動めいたものがあって、その始まりは戦後すぐの時代にまでさかのぼる。
多くの場合それは労働者の歌というパターンであったから、左翼運動と密接なつながりを持っていた。

だが50年代後半から大ヒットを飛ばすキングストン・トリオなどは、あえて政治色を打ち消すことによって人気者になった。
そうしてフォーク・ソングは60年代初頭までには全米で最もナウい音楽になっていたのである。

そういう土台の上に、60年代半ばに先鋭的なフォークの歌い手たちが再び政治色、メッセージ色を持ち込んでくる。
ジョーン・バエズやボブ・ディランなどだ。 フォークからロックに華麗な変身を遂げたディランの音楽は、終始強烈なメッセージを含んでおり、
その後のロック・ミュージックのひとつの方向性を打ち出した。

ジョン・レノン(ビートルズ)がお気楽なポップスから哲学的な方向に行ったのもディランの影響である。
実のところカントリーもロックも、淵源はフォーク・ソングにあったと言って間違いではないのだ。
フォーク音楽にメッセージを載せたものがロックになり、そうでないものがカントリーになった、と言えるのかもしれない。

興味深いのはフォーク・リバイバル期に歌われた唄は、黒人音楽とかスコットランド゛やアイルランドの民謡までを含んでいたことだ。
だからアメリカ音楽の重要な成分としてフォーク・ミュージックの歴史を探訪していけば、多くの発見があると思う。


本日紹介する人はフォーク・シンガーと言うには多少違和感があり、むしろブルース・シンガーと言ったほうが適切かもしれない。
しかし、こういう人がアメリカのフォーク・シーンにおいて注目されていたことは知っておいたほうが良いと思う。
この時代のフォーク音楽は実に様々な音楽を包摂していたのだ。


カレン・ダルトン  1937~1993 オクラホマ生まれ。 わずか二枚のアルバムを残して逝った破滅型の人。


まずは、60年代初頭に録音されるも、69年まで発売されなかったファースト・アルバムより。
フォークというより黒人音楽。




ダルトンはグリニッチのフォーク・シーンにおいて一目置かれる存在であり、ディランも影響を受けていた。
ソング・ライティング(作曲)は行わず、トラディショナルなど他人の唄を歌うシンガーである。
12弦ギターとロングネック・バンジョーも弾きこなすが、酒とドラッグにおぼれ、71年のセカンド以降行方不明になり、ついにそれ以上アルバムを発表することなく、93年エイズで没。
なにやら純粋英国音楽のシンガーと似たような軌跡を描いている。

セカンド・アルバムはかなり聴かせる名盤、4曲紹介します。

まずはフェアポート・コンヴェンションなど、英国のフォーク・ロックはグリニッチと共鳴しあっていた事がわかる曲。





次はダルトンにしては明るい唄。 フォークのビリー・ホリデイと言われたのも納得。
彼女はチェロキー・インディアンの血が入っており、ヨーロッパにおけるジプシー音楽と似たものを感じる。どこか異端なのだ。
(ジミ・ヘンもインディアンの血だったよな)





のちのザ・バンドのメンバー、リチャード・マニュエルによる曲。 つまりザ・バンドもグリニッチ・シーン出身ということになる。

 



最後はじっくり聴かせるバラード。 この声は酒で喉がつぶれたのか・・・・・・
エモーショナルな唄でありながら、どこか感情移入が控えめなのがダルトンの歌唱であり、それはジャズに近い世界だと思う。




東部の大都会、ニューヨーク発のフォーク音楽は、60年代すでに芸人音楽を自由音楽に変質させていたのではないでしょうか・・・・?
さらにフォークとジャズが同じ街で発達したことも、アメリカ音楽を考える時に見落とせないポイントだよな・・・・・




この記事へのコメント

ynizm
2011年11月23日 19:32
ご無沙汰です。
アメリカのフォークきましたね。
確かにダルトンはビリーホリデイそっくりですね。
フォーク&インディアン混血つながりで、
私はこの人が気になります。(私の好きな情念系)
http://www.youtube.com/watch?v=VTFnWdOzrMM&feature=related
この手の人はもうこの世代にしかありえないんでしょうね。まるでカルト教団の信者のような。
ナツメロで終わらせられない凄みを感じます。
好調
2011年11月23日 23:05
お、ごむさたです
バフィー・セント・メリーはいずれ語ろうかと思ってたとこです。 フォークが熱かった時期、衰退していった時期、両方とも体現してる人のような・・・
変態通行人
2011年11月27日 16:01
うーーーーむ 好きかも

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