Sea Level

ドラマーをいろいろ聴いているうちにフュージョン音楽についてちょっと考えてしまった。

フュージョン音楽とは60年代終盤あたりから始まったクロスオーバー音楽が、70年代後半、商業的に
わかりやすく大衆化されたものだったと言えよう。

いっぽう良心的なフュージョン音楽も少なからず存在したわけで、それは気分的にクロスオーバー時代の精神、
すなわち異なるジャンルに接したり、その境界を越えることによって高い音楽性を確立する欲求を持ったものだった。

西海岸発のフュージョン音楽は、そこが昔から進歩的であるように見えながら、実はしばしば俗っぽい音楽の生産地であり、消費地でもあったという伝統の中から生まれている。

ウェスト・コースト・ジャズもそんな部分があるよな。 (スタン・ゲッツ禁止:笑 )

ハーヴィー・メイソンが、あれだけ優れたドラムの腕を持ちながら、一緒に音楽を演った連中にロクなのが居なかった点は遺憾にたえない。

フュージョン音楽がつまらないのは、腕利きのジャズ・ミュージシャンが、恐ろしく手を抜いた演奏をするのが主な原因で、音楽の退化を目の当たりにするのが不愉快なのだ。
あとは流行りのパターンを節操無く導入してみたり・・・・

ところでジャズメンがお仕事でやったフュージョンが手抜きであったとすれば、ロックの方向からジャズを取り入れた、元ロックバンドが模索したフュージョンは意外に面白いことが多い。 大好きなスティーリー・ダンも、オレの中では彼らのファースト・アルバムを聞く限りではロック・バンドからスタートしている。

つまりジャズメンのやるフュージョンは音楽的には下降線上にあり、ロックの連中が演ったのは上昇線の途上にあった。


シー・レベル   オールマン・ブラザース・バンドより分かれて1976年結成、81年消滅


デュアン・オールマン率いるサザン・ロックの雄、ABBはデュアンはじめメンバーの喪失による混乱を収拾させることが出来ず、このような分化を見るに至る。

リーダーのチャック・リーヴェル (kb) の名前から、Chuck Leavell → C. Leavell → Sea Level という洒落たバンド名になった。

考えてみればデュアン・オールマンはソウル音楽のセッションマンとしても有名で、ABBの音は玄人受けするデュアンのギターが聴きどころになっている。

他のメンバーはデュアンの背後に回らざるを得なかったとしたら、バンドメンバーの中にテクニックを磨き、音楽性を広げることでデュアンと対等に渡りあおうとする勢力が台頭した、とは考えられないだろうか?

そういうメンバー達は、デュアン亡き後、レイドバック路線を走ったグレッグ・オールマンとの軋轢が生じたのかもしれない。

ABBを飛び出してシー・レベルを結成した三名は、そうしてサザン・ロックの領域も越えたのだった。

ともあれ一曲 78年前半のセカンド・アルバムから。





南部ロックの芳香がたまらないチューンだよね。非常に緻密な構成で、アドリブ部分が少なめというのがこのバンドの特徴になっており、ツイン・リード・ギターのハーモニーもよく練られている。
緊張感と細密度において、南部のシー・レベルは西海岸のスティーリー・ダンと同じ完成度と到達度を誇っていると思われる。


もう一曲、同じアルバムから





スティーリー・ダンが多くのセッションマンの協力で録音をしていたのに対し、こちらは長年一緒にやってきたメンバー同士で、一体感がある。
若干見え隠れする「フュージョン音楽の先駆者」たらんとする気負いも、むしろスパイスになっている。

78年後半のアルバムからは、ドラマーをポール・マカートニー&ウィングスに居たジョー・イングリッシュに替えて、よりタイトなリズムになった。

変拍子地獄キタコレな一曲。 ここまで自然に聞かせるには相当高度なテクが無いと出来ないよな・・・・・ ちょっとニール・ラーセンに似た陰影のある曲。





79年のアルバムから。 これ、ベースがラウンド・ワウンド弦をピックで弾いてるのが残念・・・指で弾いて欲しかった。




シー・レベルのアルバムで面白いのはこのあたりまでで、短命という点では残念だったが、もっと再評価されていいバンドだと思う。
恐らくデュアン・オールマンも喜んで参加したであろう高い音楽性を、南部から世界に向けて発信した意義は大きい。

だけど西海岸のフュージョン音楽がバカ売れしたのに、シー・レベルのセールスはさっぱりだったというのも悲しい現実、あの音楽の劣化が顕著になっていった78年前後に、これだけ良心的な音楽をやってるのに・・・・









この記事へのコメント

カオル
2012年02月27日 23:44
最後の曲が一番好きです。Chick Corea の Elektric Band, Return For Ever を思いました。
好調
2012年02月28日 00:00
コメ産休! シー・レベル知ってる人が少ないんで嬉しいですね。

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  • Derek Trucks

    Excerpt: 今日は13ヶ月ぶりにアメリカン・ロックを紹介しましょう。 旧オールマンブラザース・バンドのドラマー、ブッチ・トラックスの甥にあたるギタリストです。 Weblog: トリニティースクール音楽部 部室 racked: 2016-01-21 00:03