ベースについて

エレキ・ベースの奏法スタイルは二種類ある。。
ひとつはパーカッシブでスタッカートな音、つまりブチブチとちぎれている音だ。 最も極端な例はチョッパー(スラップ)奏法で、これは
弦を叩いたり引っ張りあげて放すことによってフレットに激突させ、金属的な衝撃音を発生させるものだ。
(したがってフレットが存在しないフレットレス・ベースでは出せない)

スタッカートとは音を伸ばさず、いちいち消音することで、前回のバーナード・エドワーズがこのスタイルになる。
これらの奏法ではベースはリズムを刻むのみならず、限りなく打楽器に近づいているとも言える。


もうひとつは音を伸ばし、フレーズを歌わせる奏法で、ウッド・ベースからの流れである。
むろんリズムも刻んではいるが、波と言うか、うねりと言うか、そういう通奏低音的なフレーズでリズムを支配してしまうタイプだ。

もちろんひとつの曲の中でこれら二つの奏法をミックスすることもよくあるが、傾向としてどちらの奏法をより得意とするか、
というのがベーシストの個性になる。

ありていに言えばシロウト受けするのは前者のタイプだ。
と言うか、後者のタイプの凄みやエグさはベースに触れた者でないと判りにくいのである。それはあまりにも裏方臭が強すぎて注目されない為であって、
決して前者のタイプが軽薄で取るに足らないと言うことではない。

で、今日はベースのことなど今まであまり気にしていなかった読者に、後者のタイプのベースの面白さを理解してもらうエントリーです。

まずはウィリー・ウィークス。 
クラプトンやジョージ・ハリソンのほかにもドゥービー・ブラザースやプログレ、さらにはカントリーまで、実に多くのジャンルで弾いてる人。

78年、キーボードのニール・ラーセンのアルバムから。 比較的ベースの音がよく聞こえるのでじっくり聴いてみてください。
このベース、すご過ぎるんで若い頃五線譜に採譜して研究した思い出が・・・・。
ちなみにウィークスは同アルバム他の曲ではチョッパーもやっているから両刀使いですな。
(異様にタイトなドラムはオレの大好きなアンディー・ニューマーク)


Neil Larsen 'Emerald City' _Jungle Fever_('78)... 投稿者 PeriDidaskalou



前者が「踊るベース」だとすれば後者は「歌うベース」で、となるとこの人ほどベースを歌わせる人はなかなか居ない。
チャック・レイニーはセッションマンとして有名で、日本ではナベサダと演るよりピンク・レディーと演るほうを優先させたという、プロ中のプロ。

マーヴィン・ゲイのバックを聴きます。 初めてこの曲を聴いたとき、後半3:00以降あたりからの、自在にウネるベースラインに金縛りになったものである。





で、最後はこのテのベーシストのお手本、NYのセッション・マン、ゴードン・エドワーズ。
表舞台に出てきたのはスタッフというバンドのリーダーとしてだが、それ以前にも星の数ほどのセッションをこなしている。

音楽業界に顔が利くので仕事をいっぱい取ってきては子分に斡旋、したがってスタッフのメンツはゴードンには頭があがらない。
バンドの運営面ではリーダーだが、彼のベースはトリッキーでも超絶技巧でもなく、前面に出てくることはない。
聴く人が聴けばワカるという、まあベーシストにはありがちな存在感。

以下、76年のライブ、ベースが比較的よく聞こえてる。 同じフェンダーのジャズ・ベースより音の輪郭が出にくいプレシジョン・ベースでグイグイと引っぱってゆく。
高フレットをほとんど使わず、解放弦すら多用しているところがオレなんかは感動するんですよね・・・

(4:30~8:40のコーネル・デュプリーのソロがいい。 珍しくテレキャスターをファットな音で鳴らしているが、自由自在にタメを利かせるフレージングには失禁寸前になった)
(あとゴメン、スティーヴ・ガッドのドラムがカッコいいと思えないんですけど・・・)







ところで前回も苦言を呈したエイブ・ラボリエルとかアンソニー・ジャクソンはこのどちらでもないように思う。
低音が出せるギターと言うか、ベースがリズム楽器というよりはもっと小賢しい別の楽器になってしまっている。
5弦ベースや、4弦でもハイフレットばかり弾くタイプは、オレの感性ではベーシストではなく、何か他の低音楽器奏者ということになる。

したがってジャコ・パストリアスなどは感心はしても、なんと言うかベース奏者と見ることが出来ないのである。
実際、滅多に他のベーシストを褒めなかったジャコが好きだったのはポール・ジャクソンだと言う。
ジャコとは対極にある、シンプルでリズム指向スタイルのベーシストなのは興味深い。


*****

それにしてもベースの音がちゃんと聞こえる曲ってなかなか無いですね。
今回まとめるのにすごく苦労したので、ベースを語るのはもうやめようかな・・・・
つくづく因果な楽器だよな、ベース。



この記事へのコメント

変態通行人
2012年12月10日 23:50
ピンク・レディーと演るほうを優先させたという、プロ中のプロ… すごい
ベースは職人仕事みたいですね。。
who-g
2013年01月31日 20:15
アンディー・ニューマークとウィリー・ウィークスのコンビは一時期、一世を風靡しました。その後、スタッフやTOTOを結成するスタジオミュージシャンがもてはやされました。
こうしたハウスバンドのようなスタジオミュージシャンはレコードが普及する頃それぞれのレーベルに存在していてレーベルの音を決める決定要素になっていたようにおもいます。
現代では喪失してしまったレコードを買う基準のひとつでしたね。
好調
2013年01月31日 21:11
あ~確かにそうですね
レーベルごとに契約の問題とかがあって、客演するときに偽名を使ったり、あるいは頑固なレコード会社だと発売を許さなかったり・・・・

モータウンあたりはお抱えのミュージシャンで全てまかなってたような気がしますが、どうなんでしょうね?

しかし音楽語るときにプロデューサーとかが気になると
いろいろ見方も広がりますな

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