Singers Unlimited

今日はちょっと趣向を変えて、上品なジャズのコーラス・グループを。


シンガーズ・アンリミテッド  67年結成、71年レコード・デビュー。 スタジオ・ミュージシャンのボーカリスト達が多重録音を駆使してコーラスの極限を目指した4人組のグループ。。(初期は3人) 



ファースト・アルバムの選曲を見るとビートルズとかジョニ・ミッチェルなどのカバーが主で、レコード会社は彼らをジャズと言うよりは、ポップスやイージーリスニング音楽として売り出したかったのだろう。

ところがちょっと音造りに実験的なところがあって、そのスリリングさが商業的な部分を
上まわってしまい、聴き流すような軽い音楽ではなくなってしまった。
初期の彼らはドイツのスタジオで先端機器を駆使して録音、なんとなくドイツで作ったことが納得できる音なのだ。

クリーンで精密なジャーマン・サウンドは、ジャズで言えば北欧ジャズの入り口に立っているとも言える。


まずは74年、アコーディオンのアート・ヴァン・ダムと。
ジャズというよりは進歩的なポップスという感じ。若干ブラジル音楽の影響あり、とは言えないだろうか?
時代を考えれば、これも上質なクロスオーバー音楽と考えられる。






同じアルバムから。 こっちはヴァン・ダムのアコーディオンが主役。 どのパートも抑制を利かせ、無駄な音がないクールな静寂感・・・・・・
鉄琴(ヴァイブ)、ギター、アコーディオンが作り出す極上空間。
アコーディオンという楽器は、オルガンと違って音の強弱が出せるのだな・・・ などと思った。






75年、ジャズのスタンダード曲を。
ギター・ソロにも注目。






人間の声は12平均律ではなく純正律でハモることができる。 ヴァイオリンなどのフレットの無い弦楽器と同じである。
したがって完全にハモったときの音の一体感は並の楽器を越えていて、ここにコーラスの最大の魅力がある。  

これも75年。 フェンダー・ローズも歌ってマス。






技巧的なコーラスとなれば、なによりリズムと音程に精密さが求められる筈だが、
複数のボーカリストを集めて♭5とか9th、11th あたりの高度な和音をハモらせたり、複雑なシンコペーションをぶつけるのは刺激的だろう。

だが一歩間違えれば、こうしたコーラス・グループは、人間の声という楽器以前の最もプリミティヴなサウンドでありながら、あるいはそれゆえに、そういう技巧に走りすぎる危険性があると思われる。
アンリミテッドの魅力は、そういう「策士、策に溺れる」ことなく、音楽性をも高度に保っているところにあるのではないか?

リーダーでアレンジャーのジーン・ピュアリング (1929~2008) が優れていたと言う他はない。
(この人、いずれ調べてみます)











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