"Ella & Basie ! " by Quincy Jones


今からちょうど50年前、1963年7月15~16日、ニューヨークで録音されたヤバい音を聴きませんか?
ビッグ・バンドと当代随一の女性シンガーによる、スイング・ジャズの名盤です。


エラ・フィッツジェラルド も カウント・ベイシー も知らん人はいないだろうから説明は省略。
で、オレがこのアルバムで注目しているのはアレンジャーの クインシー・ジョーンズ だ。

ビッグ・バンド(ジャズ・オーケストラ)というのはもちろん戦前からあって、だいたいは歌手のバックが多かった。
しかし演奏・アレンジに磨きをかけて、歌手無しでも聴かせるようにしたのは30年代のベニー・グッドマンとかグレン・ミラーの楽団あたりからか・・・・

クインシーは57年の「オレ的ジャズの世界」でデビュー、弱冠24歳の天才が出現したのだった。 ("This is how I feel about Jazz")
このアルバム、ちょっと聴いただけではスゴさがよくわからない。
オレも最初はわからなかった。

だけど同年代の一般的なビッグ・バンドの演奏と比較してみるとジワジワと理解されてくるのだ・・・・。

ひとことで言うと、キレがあって粒立ちが良いというか、メリハリが利いている。
なんとなく全部の楽器がいつもダラダラと音を出しているのがビッグ・バンドの常道だった時代、各楽器を鳴らすときは鳴らし、そうでない時は沈黙させる。
あるいはピアニシモとフォルテシモをきわどく交代させ、緩急をはっきりさせているのだ。

むろんこの後、多くのビッグ・バンドの演奏がそういうふうになっていったから、それから何十年もたってジャズをかじりだしたオレなんかには、
最初にそういうのを始めたクインシーの偉大さがわからなかった訳だ。

で、このエラとベイシーのアルバムもそういうアレンジになってます。 
アルバム最初のこの曲からして一発でヤられる・・・・
静かなところにいきなり入るフォルテシモのホーンが、リズムの切れをさらに強調してるよね。





もう一曲、こっちはさらにヤバい・・・・





ここではベイシーのピアノはイントロ以外ほとんど右手の単音のみで、和音はあまり弾いていない。 それどころか、ホーンの谷間にポロンと単音を入れるだけのところも数箇所ある。
弱いタッチでありながら緊張感を出しているのは、50年代半ばのクール・ジャズを経由しているからだろうか。
(クインシーはマイルスの「クールの誕生」に衝撃を覚えた、と告白している)

よく聴くと、各楽器が全て同時に鳴ることはほとんど無くて、誰かが弾いてる(吹いてる)とき、他は黙っていてモザイクのようだ。
エラのボーカルも非常にリラックスしており、全力でシャウトする部分も無い。
それでも曲全体に緊張感が漂い、ダイナミックなリズムが圧倒的である不思議・・・・

アルバム最後の曲。
エラの歌唱も素晴らしいが、やはりアレンジが際立っている。





クインシーはジャズに限らず、ポップスや映画音楽、ディスコと活躍しているのは御存知のとおり。
でもずっとマイルスを尊敬しており、マイルスが亡くなる寸前の91年、それまで「過去は振り返らない」ポリシーだったマイルスを説得、
最後のアルバム(モントルーのライブ)で50年代のクール・ジャズを再演させた。

晩年の難解なマイルスの世界に入り込めなかったファンにも喝采をもって迎えられたこのライブにはクインシーも参加、マイルスの音楽人生に大団円をもたらす名盤になったと言っていいでしょう。
なんというか、エラ&ベイシーの共演盤もそうですが、マイルスの芸術性を噛み砕いて一般にもわかりやすく広めたというのもクインシーの業績のように思います。



・・・・なんだか、エラやベイシー、マイルスとクインシー、誰のことを語ってるのかよくワカらない内容になってしまいましたね。
まあ、ジャズはそんなに聴き込んでないんで勘弁してください・・・・

大好きなこのアルバムのレビューをネットでいろいろ見てて、みんなエラのことしか語ってないのが不満で書いてみました。

エラはいつだって凄いんだよ。 だけどこのアルバムの聴きどころはエラぢゃねーんだよ、ってことです。


それと、このCD借りてった人、返すように。





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