Laura Nyro (2)



ローラ最後のアルバム "Angel In The Dark" は94年から95年にかけて録音された。
子宮ガンの治療をしながら、文字通り命を削りながらの制作である。

半分は彼女のピアノと歌のみ。 半分はニューヨークの腕利きセッションマンで編成したバンドと・・・・

メンバーを何人か紹介してみよう。

*バーナード・パーディー : ドラムス

パーディーのドラミングは竹を割ったようなシンプル、強烈、ドライブ感に満ちたもので、正直この人が
前作でもローラと演っていたのは意外だった。 だけどローラの曲を引き締め、一曲の起承転結のうねりを
確かなものにするドラミングはぴったりと合っている。


*クリス・パーカー : ドラムス

Stuff というバンドにはスティーヴ・ガッドの他にもう一人ドラマーがいた。
それがこの人です。

*ウィル・リー & フレディー・ワシントン : ベース

どちらもフュージョン系では有名で、前者は白人、後者は黒人でハービー・ハンコックのとこでも弾いてた。


*ジョン・トロペイ  : ギター

トロペイはいろんなセッションに出てるく人で、正直このアルバムまではよく知らなかった。
だけど評価は最高レベルになりました。


*ランディー & マイケル・ブレッカー : トランペット と サックス

ブレッカー兄弟として、あまりにも有名

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皆ローラのファンであり、最大の敬意を抱いてる上、ニューヨーカーとしての連帯感もある人達だ。

だからこのアルバムで注目すべきは、彼らが徹底してローラのバックにまわり、むしろ目立たないような演奏に徹してることです。
マイケル・ブレッカーっていつも吹き過ぎで、あまり好きじゃないんだけど、このアルバムでは凄くいいんです。

特筆すべきはトロペイのギター。 最小の音数と音量で抑制して弾いてるんだけど、味があってギターが歌ってる。
上はキャロル・キングの曲、このギターはトロペイでは無いが、総じてバック演奏の水準の高さは、さすがNY、と言うほかはない。


それはともかく、肝心のローラについて。

若い頃に比べて声が力強くなったのは出産を経ているのと、晩年は体重が増加気味だったことがあげられると思う。
だけど表現力の細やかさや、ダイナミック・レンジの幅が広がったことはシンガーとして、彼女が精進し続けていたからに他ならない。

ローラの世界が「夜の都会のクールネス」を感じさせるって、前回書いたけど、それはローラの歌が冷たいということではない。

逆です。 

冷たい冬の都会の夜、ローラの部屋の窓だけが明るく光ってる、そんなイメージのことを言ったんです。


ローラって孤独感が強いと思う。おそらく自分だけの歌の世界を大事にした、と言うか、詩人みたいな感じ。
だから絶対ポップなものはやらなかったし、彼女自身が歌ってヒットした曲は無い。
潔いと言うか、おそらくNYって真の意味でのアーチストが集まる町だから、そういう姿勢が身についたんだと思う。

彼女がマイルス・デイビスをを含む多くのミュージシャンから尊敬されたのは、そのアーティスト(芸術家)としての
姿勢にもあったと思うんです。

でも彼女の場合、年少の頃から地下鉄とかストリートでコーラス隊組んで歌ってた、ていう基礎がある。
だから決してポップスに背を向けてた訳じゃない。

彼女自身は自分の聴いてた古いポップスが大好きで、それを自分流に歌ってた訳だけど、
何をやっても格調が高い、生まれつきの才能・センスはヘレン・メリルの姪筋にあたる、
ということもあるだろう。

(ジャズ歌手のヘレン・メリルは日本駐在の通信社局長の妻で66~72年の間日本に滞在している。
ローラが最後のツアーの地のひとつに日本を選んでくれたことに、影響が無いとは思えない。)

50歳で亡くなってしまったのは残念だが、唯一の慰めはローラが歳をとってあの声が出なくなってしまうのを聴くこともないと
いうことか・・・・。 デビューから最後まで、彼女の歌の世界は一貫しており、それはあの声によるところが大きかった。

ローラの築いた唯一無二の音楽世界は今後もずっと聴き継がれるだろう。  (Missing you, Laura......)


* Angel In The Dark からもっと聴いてほしかったが Youtube で見つからない。 以下、71年と78年のアルバムから。





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  • Laura Nyro (3)

    Excerpt: ローラ・ニーロについては昨年二月、つまりこのブログのかなり初期に二回にわたって語っている。 消化不良の感があって、このたび三回目に挑戦する次第。 くわしい紹介は過去記事を読んでもらうとして、今回は.. Weblog: トリニティースクール音楽部 部室 racked: 2012-06-10 23:37