Todd Rundgren (4)





82年のトッドのソロ・アルバム "The Ever Popular Tortured Artist Effect" から "Don't Hurt Yourself"
トッドの音楽には何か励まされるような歌が多いが、これもそんな曲。

このアルバム・タイトル、「拷問にあってるアーティストのよくある効果」 というのはよくわかんないけど、
トッドがなにかのプレッシャーにかられて作ったものだと思ってる。
前年リリースの "Healing" からの1年間にトッドに何があったのかは知らない。

忖度(そんたく)するに 80年にユートピアで二枚のアルバム、
" Adventures in Utopia" "Deface the Music" を出し、
81年に "Healing" 、82年に本作、さらにユートピア名義で "Swing to the Right" " Utopia" の二作、とトッドが最も積極的にアルバムを
発表していた時期の作品であるところに、何かヒントがあるように思う。

まぁ、それはいいとして・・・・

このアルバムは例によって全ての楽器とコーラスをトッド一人がやってる多重録音。
前作のソロ作と比べるとユートピアのアルバムを聴いてる錯覚に陥るほど
ユートピアっぽい曲がある。

イヴァン・リンスばりの転調、エッジは利いてるてるけど当たりは柔らかいトッド独特の音造り。
ボーカリスト・トッドを再認識するソウルフルな歌い方。 鼻にかかった歌声はいつまでもトッドに青年っぽさを感じさせる要素のひとつ。

歌詞を大約してみる:

君には悪いことをした
それはわかってる
君が怒ってるのも知ってる

だけど自暴自棄になって自分を傷つけないでくれ

僕の間違いのせいでそうなったのはわかる

自分を傷つけないのなら、この喧嘩で僕が負けてもいい

でも自分で渡ってる橋を燃やしたら、あとで冷静になっても手遅れだよ

だから自分を傷つけないで・・・・







これは75年の初期ユートピアのライブから。 
中盤のトランペットのソロは例の番頭、ロジャー・パウエル。 なんだ、キーボードよりこっちのほうがイイじゃん (笑)
もしかしてロジャーはマイルスにあこがれてトランペット練習してたのかもね・・・・

ライブとは思えないほど練れていて確実な演奏。

(それにしてもこの曲の透明な静寂感はヴァン・モリソンのある種の曲と同じだよな。あとブラジルはミナス・ジェライスの音楽。両方とも後日じっくり・・・)

曲名の The Wheel というのはカルマの輪のことです。
インドで言われるカルマのことを歌っていて、カルマとはある人生で冒した過ちを償うために、別の人生に生まれ変わる、解脱しないかぎり
このループは延々と続く、という事です。

大約

人生はメリーゴラウンドみたいなものと言われるけど、オレはむしろ観覧車みたいだと思う。
上下に動いてるんだけど、自分が上がってるのか下がってるのかわからなくなる時がある。

ある時、仕組みがわかって、もう充分だ、と思っても、ヘンなヤツがいて機械のスイッチを切ってくれない。

カルマの輪から出られない
時間を止めることが出来ない

親しい友達に不信感が芽生える時がある。

オレたちはしゃべり過ぎてるのに相互理解が進まないんだ
だけどそれが止められない

カルマの輪から出してくれ
時間を止めてくれ

ずいぶん多くの土地を訪れた
たくさん学んだと思いきや、まだ答えってやつには出会えない
唯一歌の唄い方だけはやっと憶えた気がするが

まだまだ考えれば苦しい問題が手付かずで残ってる

カルマの輪を止めよう
時間を止めよう

________________

「カルマの輪」が出てくる三回のサビ部分が、止められない → 止めてくれ → 止めようぜ と三段階で進化しているのに注目。
トッドの歌詞っていつもそうなんだけど、高いところからモノ言ってないんだよな。
上の方向を目指しつつ「一緒に~しようぜ」 みたいなベクトル感が強烈なの。

そもそも Utopia って「理想郷」のことで、決してパラダイスじゃないんだよね。
地上からかけ離れた天上世界じゃなくて、人が努力して築きあげるのが理想郷なんです。

結局トッドの歌詞って隠喩、暗喩で見るともっと意味が深くなるのが多くて、それがあの音と合体しているから、そこにハマると出てくるのが難しくなるほど麻薬的な魅力を持ってくる。

トッドの帯びてるエネルギーってのは、誰でもが感じる事が出来る宇宙的なもので、トッドだけのエネルギーではあそこまでは行けない、そのエネルギーをシェアしようぜ、ってのが彼の音楽だと思う。
トッドはそのエネルギーが無尽蔵だってことを知ってるから、分けてあげたいんだよな・・・・

長年いろいろ聞いてきて、ロックという音楽の良否は結局この肯定的なベクトル感とエネルギー感の有無や強弱、方向性にかかっている、
と思うようになった。 否定や皮肉が度を越した音楽は苦手になった。

そうだ、いちばん最初に紹介した "Just One Victory" の歌詞大約、つけるべきですね:

______________

オレたちずいぶん待ったんだ
意志をもたらす輝く太陽が昇るのを

僕の歌が聞こえるかい? 
いろんなおしゃべりや噂を聞いてオレは決心したんだ
オレの言ってることをワカらない奴もいるだろうが
オレは答を知ってるんだ

オレたちは弱々しくてみじめだった
だけど角をつかんで牛を倒す時がきた
そして勝つためにはお互いの力が必要だ

ガキども、目を覚ませ、負けそうになってもそれを続けるんだ
問題の対処法がわからなくても、切り抜けようと思えばそれは出来る
それを信じれば必ず実現する

いつの日か、どんな方法であれ、オレたちはたったひとつの勝利を掴むんだ
そしてその途上にオレたちはいる
昼も夜も戦い、祈ること
オレたちが呼ばれているのは耳をすませば聞こえるはず
オレたちはここで輝いている

______________


トッドに会った話をする前に、僕がどのようにトッドの音楽に惚れ込んでいたかを書いておいたほうが良いと思ったので、以上ちょっと自分でもゆっくり考えてまとめてみました。
なんかトッドの「音」を語る人は多いけど「歌詞」についてはあまり紹介されないんだよな・・

次回、先生に面会します (笑)

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